NEWS 316 : 新しい年、新しい技術、新しい製品
皆様、明けましておめでとうございます。
年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げますと共に、本年の抱負を述べさせていただきます。
昨年を振り返ってみますと、鋼材価格の大きな上昇を主因とするコストプッシュにより、採算は想定より悪化したものの、一昨年まで好調であったコンテナ船の引き合いが一気に沈静化した一方で、バルクキャリア、ケミカルタンカーやLPG運搬船の引き合いは円安を追い風に将来を見越しての思惑や代替需要により急回復し、新造船マーケットは概ね好調な一年となりました。
このような状況の下で、新造船部門では、1,096TEU型コンテナ船の連続建造において各部門で効率アップに鋭意取り組んだ結果、5隻のコンテナ船を無事竣工させることが出来ました。また受注しておりました電気推進型の捕鯨母船は、昨年、林内閣官房長官や前田市長をはじめとする多くのお客様をお招きして進水式を挙行することができました。
受注面では、合計7隻の新規受注を獲得致しました。内訳は、長きに渡りお客様にご好評を頂いている1,096TEU型コンテナ船とLPG船 計4隻の外航船に加え、港湾荷役労働者の労務負担を軽減する革新的な荷役システムを搭載したRORO船や、船員の負担軽減を図る自律運航船プロジェクトに投入されるコンテナ船等、3隻の内航船を受注しました。とりわけ団塊世代の退職とそれを補う若手人材の確保難により慢性的な船員不足に悩まされる内航海運業界に向けて、その解決の一助となる先進的な内航船の建造する機会を与えられたことは、当社にとって新たなチャレンジとなります。
また、もう一方の主力事業であります修繕船部門は、多くの企業からご愛顧いただき、安定した工事量を確保することができ、引き続き堅調に推移しております。
次に、今年の当社の取り組むべき課題と抱負を申し述べさせて頂きます。まず一つ目は何と言っても持続可能な社会を見据えた先進的な電気推進船の引き渡しです。高度な工場設備や冷凍コンテナハンドリング装置など、これまで建造実績のない非常に難度の高い船型に関係各署で鋭意取り組んでおり、当社の持てる力を結集し予定通りに引き渡しを完了させることがまずは本年の最大の課題であり目標となります。
二つ目に新船型のコンテナ運搬船の開発推進です。ドック建造という物理的制限の中で、いかに一つでも多くのコンテナを積載できる船型を開発するかが設計部門の最大の課題ですが、これに対し数年来の研究成果が開花することを待ち望んでおり、これを受けて新たなフィーダーコンテナ船をメニューに加えるべく意気込んでいるところです。
三つ目は製造業の恒久的課題である購買力の強化です。製造原価の大半を占める資機材、とりわけ鋼材価格の高騰に直面する中で、原価の上昇を少しでも抑制するために他業界から購買のプロフェッショナルを採用しました。新たな視点から安定した更に強い購買力を維持・向上させていきたいと考えています。
最後に四つ目として人材の確保を挙げます。労働集約型産業である造船業においては、生産量を維持するための労働力の確保が最大の課題となりますが、若年労働者の確保が年を追うごとに難しくなってきており、更には労働条件の社会的制限などもあいまって、従来の生産量を維持することが年々困難になってきています。これに特効薬はありませんが、地道に会社全体の魅力を向上させることによって地元の若い力を取り込み、生産量の維持に全力で傾注してまいります。
ここでグループ企業についてもお伝えいたします。
ストレイツインベストメント株式会社は、海外子会社において、初の定期傭船事業において売却益を達成した一方、新たな船型の船舶を購入し収益源を確保する等、その海外子会社を業容拡大に向け順調に成長させています。また、新造船を擁しての裸傭船事業を担う海外関連会社2社へ出資し、将来のキャピタルゲイン獲得に向けた仕組みを整えました。ストレイツキャピタル株式会社では、経営指導している出資先企業が当初の計画を超えて業績を伸ばし、その企業価値を急速に向上させているところです。
結びといたしまして、旭洋造船がこうして健全に営ませていただけるのも、ひとえにご発注いただきました船主様を始め、商談を仲介いただきました商社様やブローカー様など、関係各社様のご厚情とご尽力の賜と、改めまして心より感謝の気持ちを申し述べさせていただきます。
そして新年が、皆様にとって健康で成功に満ちた素晴らしい年となりますように。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
旭洋造船株式会社
代表取締役社長
越智勝彦