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20年以上にわたって記録している旭洋のライフログ。わたしたちはこういう造船所です。

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NEWS 191 : 2015年・新年のごあいさつ

旭洋造船・越智勝彦

年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げますと共に、本年の抱負を述べさせていただきます。

2012年冬、満を持して再登場した安倍晋三総理大臣のデフレ克服政策、いわゆるアベノミクス政策により、歴史的超円高といわれた長期にわたる円ドル為替相場も瞬間120円を超えるところまで是正され、その結果、昨年も自動車、工作機械など日本の輸出産業に大きな恩恵をもたらした一年でありました。一方では100ドル前後で推移していた石油の価格が瞬間60ドルを切るところまで急落し、これも国内外の様々な産業に大きなメリットをもたらしました。

国内で生産し外国に輸出するというビジネスモデルの日本の造船所は、建造量の指標となるばら積み貨物船の世界的な荷動きの長期的低迷が続いているものの、大幅な円安によるドルベースでの競争力アップにより、一昨年から昨年中ごろにかけて様々な船種において多くの受注を獲得し、ふたたび3年前後の受注量を確保したと思われます。


LPG運搬船 ECO CHIOS

このような状況の下、弊社は、新造船部門におきまして、2014年も契約納期通りに全ての建造船を順調に建造、引き渡しすることができました。又、受注面においては、海外から新規設計船を、そして国内からは省エネ技術をしっかり盛り込んだ内航船を受注することができ、受注量は2017年中ごろまで線表を伸ばすことができました。修繕部門におきましても、多くのお客様にご愛顧いただきまして、売上金額は前年を上回ることができました。これもひとえにご発注いただきました船主様を始め、商談を仲介いただきました商社様やブローカー様などなど関係各社のご厚情とご努力の賜と、改めまして感謝の気持ちを表させていただきたいと存じます。


カラフルな衣裳が印象的だった HEUNG-A YOUNG の引渡し

さて、3ケタの為替レベルが続く限り日本の造船所にとっては戦いやすい環境が続くと思われますが、一方で、今年一年間、資源価格、海運市況、為替変動などにより我々日本の造船所を取り巻く環境に大きな変化が起こることも想定しておかなければなりません。

新しい年を迎え、我々は心新たに以下の方針を着実に実行してまいります。

まずは、恒久テーマでありますコストダウンに向け、今年は実際の建造を担当する工作部門の強化を図ります。内業工場の老朽設備の更新にともない工場レイアウトの変更、それに見合った最適な人員配置の実施、年間建造量から逆算した外注ブロック量の管理など、まずは船殻部門より始めて、塗装、艤装部門まで、新工作部長を中心として全面的に見直しを行っていきます。予算内でベストのクオリティをいかにして達成するか。難しい命題ですが、出来る限り先手を打ちながら論理的にモノと人の流れを管理することにより、コンパクトでありながら最大限の効率を上げることができる工場に生まれ変わることを目指します。

球状船首コンテナ船「ながら」
Container Carrier NAGARA

2014 ウェディングケーキ・オブ・ザ・イヤー
(
おめでとう田中輝輝)

次に、設計開発能力の更なる向上であります。
昨年7月より適用が開始された船舶居住区の騒音規制への対応が喫緊の課題です。弊社のような小型船を設計建造する造船所には非常に難解な設計対応が求められますが、これに対しましても、弊社設計の持つ高いソリューション能力を最大限に発揮し、専門メーカー様と協力し合いながら、解決してまいります。

又、今年後半から2010年シップオブザイヤー受賞により脚光を浴びた自社開発による省エネ型風圧低減SSSバウ(日米欧中韓で特許取得済) を搭載した内航船が続々と建造されます。原油価格が下がったとはいえ、省エネの追求や排ガス規制は既に世界的なトレンドでありますので、この省エネ技術をさらにブラッシュアップし、デュアルフュエル仕様の研究実現と併せて、様々な船型への適用促進、旭洋造船でしかできない船を内外問わず積極的に提案してまいります。

そして、最後に、ニッチなマーケットで活躍される優良外国船社様向けの少ロットでも高付加価値な、言葉を替えますと他の造船所が敬遠するような新造プロジェクトをオーダーメイドで受注する方針を揺るぎなく継続強化していきます。弊社の特色であるフレキシブルな設計能力と英語コミュニケーションへの対応能力を最大限活かし、規模の小さなマーケットであっても、この受注方針の下、数少ない優良案件の発掘、実現に注力いたします。

以上、3つの点において、常に他社より一歩先んじた力を持つことこそが、どんな環境変化に対しても、弊社が将来も長く強く生きていくための前提条件と確信しています。


新入社員の皆さん

漁船の修理工場としてスタートした旭洋造船も創業70年を超えました。特にこの5年間は若い力がどんどん加わり、年齢別の構成も大きく変化しています。若々しく活気のある職場を常に標榜し、協力会社を含めた全社員が「チーム旭洋」としてワンチームの一体感を感じながら、先ほど申し上げました目標を達成し、小粒でもピリッと辛い造船所を目指してまいります。

本年も気持ちを新たに、社員一人一人が、建造、修繕させていただくチャンスをいただいたお客様や様々な関係者の方々への感謝の気持ちをかみしめつつ、地域のため、会社のため、そして自分自身と家族のために、夢と希望と活力をもって、安全第一に「船づくり」をおこなってゆきます。今後とも、一層のご愛顧とご鞭撻をお願い申し上げます。

旭洋造船株式会社
代表取締役社長
越智勝彦

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