■連載第二回■
前回、歴史の街下関として源平合戦終焉をご紹介しましたが、それに勝るとも劣らぬ有名なスポットが下関にある小さな島「巌流島」です。
時は慶長17年(1612年)、高名な武芸者、宮本武蔵と佐々木小次郎がこの島で決闘し、武蔵が勝利を収めました。この事実は、その後講談や芝居などで勧善懲悪物やあだ討ち物などに脚色され語り継がれましたが、昭和10年8月、国民大衆文学の大作家「吉川英治」が朝日新聞連載小説「宮本武蔵」として発表、国民の大喝采を浴び、昭和14年7月の終了まで何と足かけ5年1013回というロングラン小説となり、武蔵物の決定版となりました。今、武蔵のイメージといえば日本人の大半は吉川英治の武蔵像を思い起こすくらいその影響力は大です。
吉川英治はそれまでの強い剣豪(最初から完成された)という武蔵のイメージを捨て去り、戦国期に仕官を夢見る粗野で乱暴な若者タケゾウが剣の修行や戦いを通じて悩み成長していくグローインナップストーリーとして武蔵に新しい命を吹き込みました。相手の佐々木小次郎にしても悪役敵役ではなく、己の剣に絶対の自信をもつ、純粋かつ怜悧な美少年として魅力的に描かれています。この二人に様々な群像や愛憎がからみあい、壮大なドラマとしてラストの巌流島の対決へとなだれこんでいくのです。
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